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KCRビジネスジャーナル 2004年12月号 http://www.kcr-inc.com/
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目次
■ 金田洋次郎の証券アナリスト日記

■ 松井証券マーケットプレゼンス毎週水曜日好評連載中!
   証券アナリスト金田洋次郎の業界セクター分析講座
   〜介護セクター編〜 (第3回/全12回)

■ 注目のKCR-IPO-IRレポート
   株式会社朝日インテック(7747・ジャスダック)

■ 注目のベンチャー企業動向

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■ 金田洋次郎の証券アナリスト日記
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早いもので、もう師走も残すところあとわずかになった。来年の1月で、私が
独立してから7年目を迎えようとしている。ここまであっという間であった気
もするが、証券会社時代を通しても、これまで随分多くの企業トップとお会い
させて頂き、本当にいつもいい勉強をさせてもらっていると思っている。
私を育てヒントを与えてくれたのは、常に現場の経営トップの方々であり、取
材の現場は、新鮮な情報で溢れていて、いつもエキサイティングな気持ちにさ
せてくれる。今、こうしてアナリスト稼業で飯が食えていることにつくづく感
謝したいと思う。

実は、私は、もともと大学時代、新聞記者を目指していたのだが、就職では挫
折し、友人に誘われ、証券会社に入社した。そこで、証券アナリストという職
業に出会ったのである。もともとジャーナリズム志向であった私は、すぐに資
格試験に挑戦し、入社4年目で証券アナリストの資格をとった。
当時は、今のようなかたちで独立開業できるなどとは夢にも思っていなかった
のだが、資格を取得して以来、証券アナリストという職業は、どのようなもの
なのだろうかと常に自問自答してきた。よく「株の予想屋」のような言い方で
揶揄される場合があるが、当時も今もそうかもしれないが、実際は株価に関し
ての予想はあまりなされていなかった。特にリサーチアナリストのレポートは
業績予想が中心になっており、株価に関する予想はあまり深くなされていなか
ったのが現状である。

私は、証券アナリストの役割は、証券市場の効率化に貢献することと思ってい
る。もう少し、くだけて言えばいい会社に資金が集まり悪い会社には退場を促
すような投資家にとっての羅針盤的役割である。その意味では、証券アナリス
トの役割は重い。日本経済の発展の根幹から関わるような仕事である。しかし、
証券アナリストのほとんどがどこかの金融機関に所属しており、しかもその情
報は著しく機関投資家に偏っている。私は、このような重責の仕事なのにどう
して独立系のアナリスト会社ができないのかと考えた。そして、独立系のアナ
リスト会社を作りたいと真剣に考え出したのである。

改めて目を凝らすと当時でも独立系の投資顧問会社は、無数にあった。彼等は、
投資家にハイパフォーマンスを提供することから株価予想に力を入れている。
当たり前のことだが投資家は、アナリストに目先の業績予想の正確さよりもそ
の企業は買いか売りかを求めているのである。この原点に気づいた私は、当時
から投資家の視点になるために自分で相場もはって様々な株式を購入した。自
分は証券アナリストだ。株についての一通りの知識を持っている。そんな自信
からはじめた株式運用だったが、パフォーマンスがあまりよくない。これまた
なぜなのだろうと考えたのである。

こうして様々な試行錯誤を繰り返してきたのだが、ようやく気が付いたのが株
式投資で成功するためには株価を買うのではなく会社を買う視点が大切だとい
うことだった。株価予想というよりは、会社が将来どうなっているのかという
予想を理論的に組み立てるのがアナリストの仕事だと悟ったのである。
また、会社を運営しているのは、やはり人である。中でもその将来戦略を担っ
ているのは経営トップであることから、経営トップの分析がアナリストには欠
かせないと気が付いたのである。こうした視点や考え方は、現在の私のアナリ
スト活動を支える礎になっている。独立開業したときに私は、一生のミッショ
ンとして、3つの目標を立てた。

一つは、企業IRの普及、もう一つは、個人投資家の育成、そしてもう一つが
ベンチャー企業の育成である。私は、この目標を「3DOT 3LINE」と
いうコア・コンセプトにまとめた。3DOTとは、3つのターゲットに対し、
ビジネスを展開する。そのターゲットとは、投資家層、公開企業層、未公開の
ベンチャー企業層である。投資家層にはライフプランを中心としたフィナンシ
ャルサービスを、公開企業層には一層のIR活動の普及を目指してIRコンサ
ルテーションを、そしてベンチャー企業には、ヒト、モノ、カネ全てが不足し
ていることからビジネスコンサルテーションの提供を実施するのである。そし
て、それらのターゲットを線で結ぶビジネスを考えたのが3LINE戦略であ
る。公開企業とベンチャー企業のアライアンス業務、ベンチャー企業と投資家
層のファイナンス業務、公開企業と投資家層のアナリスト業務と合計6つの事
業部門を立ち上げた。

一見、何でもやっているようなビジネスモデルは、実は有機的に絡み合ってい
て、理解が進むほどそれぞれの事業部門が複雑に絡みあい収益を生み出す仕掛
になっている。アナリスト稼業は、中立性が重んじられる仕事である。私は、
独立開業するときに、それまでの自分のスキルと照らし合わせて、6方から細
かくフィーを生めるビジネスを展開することで中立性を重んじながら収益を稼
げる独立系のシンクタンクが創れると考えた。 
まだまだ、私自身の努力が足りないことは認識しているが、少しずつ私のビジ
ネスモデルに共感して頂けるひとが増えてきている。大変有難いことだ。そう
した人たちの期待を裏切らないように今後も良質の情報提供に努めていきたい
と思う。今月の取材速報である。

〇豆蔵(東証マザーズ:3756)
11月18日荻原社長にトップ取材。独自のエンソロジー(エンタープライズとメ
ソロジーの合成語)技術に特化、エンソロジー技術者の育成教育も行う。ソフ
ト開発のオブジェクト指向技術のパイオニア的企業。顧客層は、ビジネスソフ
トウェアの分野だけではなく電子機器や自動車メーカーなどエンジニアリング
分野と幅広くニーズがあり将来性有望である。社長は公認会計士であるが会長、
副社長、取締役と3人のトップ技術者を抱え人材の層は厚い。技術はIT業界の
東大と豪語するほど高度である。事業内容は面白いが投資家に分かりずらいの
が難点か。
12月15日現在終値544,000円、時価総額38億円。

〇アドバンスクリエイト(大証ヘラクレス:8798)
11月18日決算説明会に参加。「凡事徹底」を経営理念に世界最大級の保険代理
店を目指す。従来のポスティングによる顧客開拓から、「保険市場」ブランド
によるインショップ型の多店舗展開を急ぐ。現在59店舗展開。今後2〜3年は、
シェア拡大に注力し年間120店舗のペースで出店し、圧倒的スピードで500店舗
体制を目指す。しばらくは費用先行型か。保険を売りに行くのではなく買いに
こさせるという逆の発想が極めてユニークである。グループ会社を5社設立し、
階層別に商品も拡充。当面「保険市場」の成長性を見極めるのが同社の成長を
予測する鍵といえる。
12月15日現在終値326,000円、時価総額300億円。

〇イムラ封筒(東証2部:3955)
11月30日、山上常務に近況を聞く。封筒は、官公庁向けを中心に圧倒的強さで
国内に敵なし。封筒事業は成熟も現在も同社のドル箱である。同社の問題点は、
成長しているが赤字が続くメーリングサービス事業にある。実は、メーリング
サービスの主要顧客は通販会社が多く出荷日が一定の日に集中しているため、
繁忙期と閑散期のギャップが大きいのが悩みの種となっている。現在、稼働率
を上げるため小口受注を積極的に営業展開している。このへん実績が上がるま
でまだ少し時間がかかるか。郵政民営化の動きは同社にはビジネスチャンス多
く追い風。特に同社のDM代行サービスは、小口を同社が一括して取りまとめ
ることでユーザーは劇的にコストを下げることができる。このへんのメリット
がユーザー層に浸透していけば大きな収益源になる可能性もある。
12月15日現在終値524円、時価総額56億円。

〇第一カッター興業(ジャスダック:1716)
12月1日同社代表取締役の渡辺社長にトップ取材。無借金経営。ダイヤモンド
工法によるコンクリートの切断・穿孔が主力。もう一つの柱として研磨ができ
る高圧ウォータージエット事業に注力。公共工事は、4月〜6月が閑散期であり、
その間を民間工場などに対するウォータージェット事業の成長で補う戦略を展
開。職人を大事にし、人を育てることに注力。整備開発課は、3人だが、オー
ダメイドや機械を改良して現場仕様に合わせ歩留まりの向上を図るなどの工夫
を行っている。
12月15日現在終値 695円、時価総額20億円。

〇ランシステム(ジャスダック:3326)
12月2日同社代表取締役の田中社長にトップ取材。テレビゲームショップ「桃
太郎」は、地域一番店として定着。今後は、複合カフェ「スペースクリエイト
自遊空間」ブランドの積極展開に挑む。現在116店舗展開。3年後に200店舗ま
で体制を構築予定。同社の強みは、現在まで蓄えた社内データベースにある。
自社開発のコンピュータシステムで立地条件、価格設定、在庫管理、サービス
アイテムの選定・入れ替えを行いユーザーニーズに機敏に対応できるシステム
を完成している。むやみな出店せず、大型出店を軸に同業他社に打ち勝つ考え。
業態に多く見られる猪突猛進型ではなく、地に足が着いた形で考えながら出店
する姿勢に共感。
12月15日現在終値384,000円、時価総額72億円。


■ 証券アナリスト金田洋次郎の業界セクター分析講座
■ 〜介護セクター編〜 (第3回/全12回)
■ 提供:KCR総研 http://www.kcr-inc.com/
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第3回 訪問介護サービスの難しさ

訪問介護サービスを手がける民間事業者は訪問介護の拠点となるヘルパーステ
ーションの出店を加速させ、人員の確保に走った。先を争う企業が目指したも
のは介護保険市場におけるシェアの拡大にほかならない。ますます拡大する介
護市場で、少しでも多くの介護保険給付金を獲得することを目指したのである。

介護保険給付金は急激な介護保険利用者の増加にともなって厚生労働省の試算
を上回るスピードで加速し続け、シェア拡大に成功した事業者の懐は潤った。
市場が急拡大しているのだから、シェアを維持し続けるだけでも売上は大きく
伸びる市場なのである。競争の先頭をいく企業は事業や資本市場で得た資金を
もとにさらに拡大のための投資を行い、遅れる他社を引き離しにかかる。そう
してますます競争は激化する。

一方、訪問介護サービスを展開することの難しさもある。参入障壁が比較的低
いということは、業界内シェアの変化率が大きくなりやすいことを意味する。
だいいち訪問介護におけるシェアはそれほど確固たるものなのだろうか。顧客
にとって気にいらない訪問介護サービス業者を他の業者に変える手間とコスト
(いわゆるスイッチングコスト)は他の介護サービスに比べてそれほど高くない。

競合他社との差別化を図ることも難しい。人が資本のサービス産業であるとは
いえ、労働市場の流動性が非常に高い介護業界では優秀な人材を囲い込むこと
が困難である。しかもサービスの質を訴えようにもこればかりは目に見えるか
たちで提示することがそもそも難しい。

以上のような理由から、新規参入業者が資本の論理で市場を席巻することも難
しくないといえる。加えてスピードが勝負の世界であるともいえる。確固たる
競争優位と差別化が図りにくく、昨日の勝者が明日の勝者とは限らない世界な
のである。

それになにより収益性が低い。激しい競争を勝ち抜き、売上が拡大してもそれ
ほど利益が伸びない状況が訪問介護業者の目の前に横たわっているのである。
しかもこれは市場急拡大期における競争激化を受けての一過性のものではない。
それはどういうことか。そしてその状況を前に経営者はどのような道を選択す
るのだろうか。

※現在、松井証券マーケットプレゼンスでは、不動産セクター編を連載中で
す。投資情報満載のメールマガジン「松井証券マーケットプレゼンス」のご登
録は、同社ウェブサイトで。 http://www.matsui.co.jp/mailmag/

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■ 注目のKCR-IPO-IRレポート
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ロイターおよびNPO法人日本ライフプラン協会ウェブサイトで好評配信中の
「KCR-IPO-IRレポート」から、注目の1社をご紹介いたします。

株式会社朝日インテック

【コード】7747
【業種】精密機器
【市場】JQ
【公開日】2004/07/01
【主幹事】野村證券
【事業内容】医療用器具及び産業用ステンレスワイヤーロープ等の製造販売

【事業の特色】
■医療機器である低侵襲治療製品の開発・製造・販売を行っている
■産業機器である産業用ステンレスワイヤーロープの製造・販売を行っている
■メディカル分野では革新的な治療方法にも対応できるニューデバイスの開発
に力をいれている

【経営課題】
■医療事故の発生を防ぐ品質管理体制の確立・強化
■新素材・新製品の開発体制の充実とともに新規分野の需要開拓
■インダストリアルデバイス事業の新たな競合先として、韓国・中国等のメー
カーが存在している

【アナリストメモ】
■メディカル分野・インダストリアル分野の2本柱が同社の収益源であり、バ
ランスがとれている
■次世代の治療方法である再生医療用のデバイスについて、産官学共同研究開
発を実施している
■メディカルデバイス事業では国内外の大手医療機器メーカーにOEM供給を行
っている

【マーケット動向】
■特定機能病院における診療報酬包括制度の導入や保険償還価格の引き下げな
どが不安材料
■医療機器市場では技術の変革が著しく速く、新製品・新技術の開発は必須で
ある
■産業機器業界においては低コスト生産追及のための中国進出が加速されてい

KCRレーティング
【収益性】★★★★
【効率性】★★★
【安全性】★★★
【成長性】★★★
【生産性】★
【IR】★★★
【総合評価】★★★★
※当社独自の基準で5段階評価しております。

配信中の「KCR-IPO-IRレポート」では、上記内容のほかに詳細な財務分析も記
載しております。IPO投資をご検討される際には是非ご活用ください。

「KCR-IPO-IRレポート」はこちらでご覧いただけます。
マルテックスインベスター http://www.multexinvestor.co.jp/
NPO法人日本ライフプラン協会 http://www.jlpi.jp/

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■ 注目のベンチャー企業動向
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○株式会社セキュアヴェイル(大阪市北区)
ログ解析サービスを主力とするシステムセキュリティ専門のサービスプロバイ
ダー。社長は元新日鉄ソリューションズの敏腕営業マン。株主として大手ベン
チャーキャピタルが名を連ねるなど、すでに同社の業界内での注目度は高い。
技術の先進性もさることながら、社長の真面目さが同社の成長を大いに期待さ
せる。
会社HPはこちら → http://www.secuavail.com/

○株式会社トータル・ライフサービスコミュニティ(大阪市北区)
ビルメンテナンスが主力。長年研究開発を続けてきたホームネットワークシス
テム事業の成果が出始めている。ここにきて関西電力グループが展開するSOS
マンションセキュリティ「ひかリモ」に同社のシステムが採用されるなど、新
たな展開を見せる。大手企業とのアライアンス戦略が功を奏すか否かに注目が
集まる。
会社HPはこちら → http://www.totallife.co.jp/

○ベンリッチ株式会社(大阪市中央区)
イベント設営を中心にアウトソーシング事業を展開。愛知万博での大型受注も
決定済みと好調。注目は郊外を中心にレゲエのライブハウスを展開する新規事
業。すでにレゲエの全国縦断ツアーを成功させるなど興行実績は申し分ない。
第1号店出店が待ち遠しい。
会社HPはこちら → http://www.venrich.com/

○株式会社エトレ(大阪市中央区)
グリーンシート市場に登録する企画制作会社。新規事業として子会社を通じて
ペットのフィットネスクラブを展開する。本日が第3四半期決算の開示日。一
般広告制作が安定受注を確保したことに加え、新規事業である大学関連、ペッ
ト関連が好調で好決算となった。通期業績も大いに期待できる。
決算はこちら → http://www.vimex.co.jp/dboard/company.asp?v_id=000068

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KCRビジネスジャーナルは、毎月1回の発行を予定しております。
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■株式公開(IPO)企業のトップ、経営幹部
■ベンチャー企業のトップ、経営幹部
■ベンチャーキャピタリスト
■銀行・証券会社・監査法人等IPO関係者
■弁護士・会計士・診断士等専門家
■大学・官公庁等新規事業関係者
■マスコミ等PR関係者
■個人投資家・エンジェル
■内外証券アナリスト
■特定非営利活動法人日本ライフプラン協会正会員・専門委員

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